こんにちはコーヤです。
このページでは余因子展開の計算方法を3ステップに分けて勉強します。余因子展開ができると高次の行列式が計算できるようになります。
余因子展開の3ステップ
余因子展開の計算は3ステップです。
- 展開する場所を決める
- 余因子を求める
- 成分と余因子の積を足す
余因子展開をすると$n$次の行列式が$n-1$次の行列式に変換されて求まります。$n$次から$n-1$次に変換し、$n-1$次から$n-2$次に変換し、どんどん小さくしていくことで3次か2次まで下げれば公式で求めることができます。
それでは以下の行列$X$を例に1ステップずつ見ていきましょう。
$$
X
=
\begin{pmatrix}
a & b & c & d\\
e & f & g & h\\
i & j & k & l\\
m & n & o & p
\end{pmatrix}
$$
Step1. 展開する場所を決める
余因子展開する行or列を1個決めていきます。どこを選んでも計算結果は同じになるので、選ぶ基準は計算が楽かどうかです。
成分のどこかしらに0が含まれる行列なら、0がなるべく多くなるように行or列を選びましょう。0が多いほど余因子展開は楽になります。
例の行列$X$のように行列の各成分に値がある場合は、どこを選んでもさほど変わりません。
今回は1行目を選んで進めていきます。
Step2. 余因子を求める
選んだ行or列の余因子を求めていきます。
今回は1行目を選んだので、(1行1列)(1行2列)(1行3列)(1行4列)の4つの余因子を求めます。
1行1列の余因子=$X_{11}$
1行2列の余因子=$X_{12}$
1行3列の余因子=$X_{13}$
1行4列の余因子=$X_{14}$
とします。
Step3. 成分と余因子の積を足す
最後は行列の成分と対応する余因子の積を足していくだけです。
1行1列に注目します。1行1列の成分は$a$です。1行1列の余因子は$X_{11}$です。
1行1列で求めたい値は行列の成分と余因子の積なので、$aX_{11}$となります。
同様に1行2列は$bX_{12}$です。1行3列は$cX_{13}$です。1行4列は$dX_{14}$です。
これらの和が行列式になります。したがって
$$
\det X
=
aX_{11}+bX_{12}+cX_{13}+dX_{14}
$$
これで行列式が求まりました。
余因子展開の計算のイメージを画像にしました。画像で見ると展開してる感が伝わると思います。
余因子展開の具体例
それでは具体例で余因子展開してみましょう。紙とペンがある方はぜひ手計算でやってみてください。
$$
A
=
\begin{pmatrix}
3 & 5 & 7 & 11\\
11 & 7 & 5 & 3\\
7 & 3 & 11 & 5\\
5 & 11 & 3 & 7
\end{pmatrix}
$$
Step1. 展開する場所を決める
今回は1行目で余因子展開することにします。
Step2. 余因子を求める
1行1列の余因子=$A_{11}$
1行2列の余因子=$A_{12}$
1行3列の余因子=$A_{13}$
1行4列の余因子=$A_{14}$
とおくと
$$
\begin{align}
A_{11}&=268\\
A_{12}&=-460\\
A_{13}&=-356\\
A_{14}&=684
\end{align}
$$
になります。
Step3. 成分と余因子の積を足す
$$
\begin{align}
\det A
&=
3A_{11}+5A_{12}+7A_{13}+11A_{14}
\\\\&=
3536
\end{align}
$$
行列式が求まりました。
この行列式を手計算で求めた方には伝わっていると思いますが、余因子展開は計算量が多くて大変です。
少しでも計算量を減らすためにはステップ1の場所決めで0が多い場所を選ぶことが重要です。
$$
B
=
\begin{pmatrix}
3 & 0 & 0 & 0\\
11 & 7 & 5 & 3\\
7 & 3 & 11 & 5\\
5 & 11 & 3 & 7
\end{pmatrix}
$$
この行列を1行目で余因子展開すると、ステップ3の式が
$$
\begin{align}
\det B
&=
3B_{11}+0B_{12}+0B_{13}+0B_{14}
\\\\&=
3B_{11}
\end{align}
$$
こうなります。
つまりステップ2で$B_{12},B_{13},B_{14}$を計算する必要がなくなるんですね。
展開する場所に0があればある分だけステップ2の余因子の計算を省略できます。なるべく0が多い場所を選ぶのが余因子展開のコツです。
0がない行列を余因子展開するときは、行列式計算のテクニックで0を作ってから余因子展開するのがオススメです。
まとめ
余因子展開の計算は3ステップです。
- 展開する場所を決める
- 余因子を求める
- 成分と余因子の積を足す
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