掃き出し法を用いた逆行列の計算方法

こんにちはコーヤです。

このページでは掃き出し法を使って逆行列を計算する方法を勉強します。成分が複雑ではない行列なら、素早く逆行列を求めることができます。

掃き出し法の全体像

A=(312541213)

行列Aの逆行列A1を求めていきましょう。

掃き出し法は行列Aと単位行列Eを並べて書いたところからスタートします。

(312100541010213001)

この状態から行基本変形を駆使して

(100abc010def001ghi)

左側が単位行列Eになればゴールです。このとき

A1=(abcdefghi)

という感じに右側の行列が逆行列A1になっています。

掃き出し法の具体例

それでは変形過程を追いながらA1を求めてみましょう。

(312100541010213001)

スタート地点はここです。ゴールの形にするためにどうすればいいか考えながら行基本変形を使っていきます。(掃き出し法では列基本変形は使いません。)

行基本変形のおさらいです。行基本変形には3つのルールがあります。

  • 2つの行を入れ替える
  • 1つの行をスカラー倍する
  • 1つの行をスカラー倍して他の行に足す

詳しくは行基本変形のページをご覧ください。

まずは左の行列の1行1列を1にするために、3行目を-1倍して1行目に足します。

(101101541010213001)

これでちょっとゴールの形に近づきました。

次は2行1列と3行1列を0にするために、1行目を-5倍して2行目に足し、続けて1行目を-2倍して3行目に足します。

(101101046515015203)

これで左側の行列の1列目がゴールの形と同じになりました。次は2列目をゴールの形に近づけます。

2行2列を1にするために、2行目と3行目を入れ替えます。

(101101015203046515)

3行2列を0にするために、2行目を-4倍して3行目に足します。

(1011010152030014317)

左側の行列の2列目がゴールの形と同じになりました。最後は3列目を仕上げます。

3行3列の成分を1にするために、3行目を114倍します。

(101101015203001314114714)

3行目を1倍して1行目に足し、続けて3行目を-5倍して2行目に足します。

(10011141147140101314514714001314114714)

これで左側の行列がゴールの形になりました。右側の行列が逆行列になっているので

A1=(11141147141314514714314114714)

です。分数を外に出してあげて

A1=114(11171357317)

これで逆行列完成です。

掃き出し法が適さない場面

掃き出し法は簡単に逆行列を求めることができますが、全ての行列に対して有効なわけではありません。

X=(1x+11+1x1+1x1x+1x+11+1x1)

このように複雑な行列になると、掃き出し法で計算するのはかなり厳しくなります。

成分が複雑な行列は余因子行列を使って逆行列を計算しましょう。

まとめ

左側をゴールの形に近づけるためにどうすればいいか考えながら、行基本変形3つを駆使していくのが掃き出し法です。

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