正規直交基底の性質と計算方法

こんにちはコーヤです。

このページでは正規直交基底の性質とグラムシュミットの正規直交化法について勉強します。どんな基底でも正規直交基底に変換できるようになります。

正規直交基底の条件1つ

内積空間である3次元列ベクトル空間R3としてe1,e2,e3f1,f2,f3の2組を考えてみます。

正規直交基底は線形空間の基底の応用編です。基底が不安な方はまず基底のページをご覧ください。

e1=(100)e2=(010)e3=(001)

f1=(110)f2=(021)f3=(223)

線形空間の基底は2つの条件を満たせばどんな定め方をしてもOKでした。

  • 線形独立であること
  • 線形結合で任意の元を表せること

内積空間の基底もこの2つを満たせばどんな定め方をしてもOKですが、さらに1つ条件を追加してみます。

内積空間の基底u1,u2un

uiuj=δij(i,j=1,2,n)

を満たす時、基底u1,u2unを正規直交基底と言います。

δijはクロネッカーのデルタと呼ばれる数です。以下のように0か1かどちらかになります。

δij={1(i=j)0(ij)

正規直交基底の意味

正規直交基底の条件がどういう意味か考えてみます。

δij=1のパターンは

uiui=ui2=1

となります。ノルムの性質よりui0なので

ui=1

です。つまり、基底のノルムが1になるという条件を表しています。そして、ノルムを1にすることを「正規化する」といいます。

次にδij=0のパターンについて、直交の性質より

uiuj=0uiuj

となります。つまり、異なる基底同士は直交しているという条件を表しています。

まとめると正規直交基底は

  • 基底が正規化されている
  • 異なる基底同士が直交する

この2つの条件を満たす内積空間の基底のことです。

正規直交基底の判定方法

冒頭のe1,e2,e3f1,f2,f3が正規直交基底かどうか判定してみます。

お察しの通りe1,e2,e3R3の正規直交基底です。

e1e1=e2e2=e3e3=1e1e2=e2e3=e3e1=0

計算してみるとたしかに正規直交基底の条件を満たします。

見た目的にもノルムが1ですし、お互い直交してそうな感じがします。

次はf1,f2,f3を調べてみます。

f1f1=2

この時点でアウトです。残念ながらf1,f2,f3R3の正規直交基底ではありません。

でもこれで終わりではありません。内積空間はどんな意地悪な基底で作られていても、グラム・シュミットの正規直交化法という計算で正規直交基底に変換することができます。

グラム・シュミットの正規直交化法

グラム・シュミットの正規直交化法で意地悪なの基底が作っている内積空間を正規直交基底で表現することができます。

正規直交基底のイメージ

3次元内積空間R3の基底として画像左側のx,y,zと画像右側のx,y,zがあります。

どちらも基底としてはOKですが右側のx,y,zの方が分かりやすいです。

グラム・シュミットの正規直交化法を使うとx,y,zで与えられた内積空間の空間の形はそのままに、基底をx,y,zに変換できます。

それでは具体的な計算方法を見ていきます。上の例で使ったf1,f2,f3を正規直交基底u1,u2,u3に変換します。

計算の流れは

  • 他の変換済み基底u1,u2ui1と直交するgiをつくる
  • giを正規化してuiをつくる

f1,f2,f3の順にやっていきます。

f1を変換

まずは1つ目の基底f1を正規直交基底u1に変換します。f2,f3は無視します。

まずは他の変換済み基底と直交するg1を作る段階ですが、まだ他の変換済み基底がありません。なので

g1=f1

とします。

次にg1を正規化したものをu1とします。

グラム・シュミットの正規直交化法

g1と同じ方向の正規化されたベクトルu1は以下のように計算すると求まります。

u1=1g1g1

数値をいれて計算すると

u1=1g1g1=12(110)

となります。

f2を変換

次は2つ目の基底f2を正規直交基底u2に変換します。f3は無視します。

まずは他の変換済み基底u1と直交するg2を作る段階です。画像のようにg2を作ります。

グラム・シュミットの正規直交化法

画像よりg2

g2=f2au1

となります。

ここで画像の長さa

a=f2cosα=u1f2cosα=u1f2

です。2行目でu1がいきなり出現していますが、u1=1なので勝手にかけ算してもOKという発想です。

数値をいれて計算すると

a=u1f2=12(110)(021)=2

g2=f2au1=(021)22(110)=(111)

です。

g2と同じ方向の正規化されたベクトルu2

u2=1g2g2=13(111)

と求まります。

f3を変換

最後3つ目の基底f3を正規直交基底u3に変換します。

まずは他の変換済み基底u1,u2と直交するg3を作る段階です。画像のようにg3を作ります。

グラム・シュミットの正規直交化法

画像よりg3

g3=f3bu1cu2

となります。

ここで画像の長さb,caを求めたときと同様に

b=u1f3c=u2f3

です。

数値をいれて計算すると

b=u1f3=12(110)(223)=22

c=u2f3=13(111)(223)=3

g3=f3bu1cu2=(223)222(110)33(111)=(112)

です。

g3と同じ方向の正規化されたベクトルu3

u3=1g3g3=16(112)

と求まります。

これでu1,u2,u3が求まりました。

u1=12(110)u2=13(111)u3=16(112)

実際に正規直交基底の条件を計算してみると

u1u1=u2u2=u3u3=1u1u2=u2u3=u3u1=0

を満たしています。f1,f2,f3が基底の内積空間R3から正規直交基底u1,u2,u3R3に変換できました。

まとめ

正規直交基底は以下2つの条件を満たす内積空間の基底のことです。

  • 基底が正規化されている
  • 異なる基底同士が直交する

内積空間の基底はグラム・シュミットの正規直交化法で正規直交基底に変換できます。

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