余因子行列を用いた逆行列の計算方法

こんにちはコーヤです。

このページでは余因子を使って逆行列を計算する方法を勉強します。計算量は多いですが、機械的に逆行列を求めることができます。

余因子行列の作り方

逆行列を作る前に余因子行列を作らないといけないので、まずは余因子行列の作り方からいきましょう。

余因子行列は余因子を転置して並べた行列です。

以下の行列の余因子行列を求めていきます。

A=(312541213)

まずは9個ある成分すべての余因子を求めます。

A11=11A12=13A13=3A21=1A22=5A23=1A31=7A32=7A33=7

ij列の余因子を、同じくij列に配置した行列を作ります。

(11133151777)

次はこれを転置します。ij列にある成分をji列に置き換えます。

(11171357317)

これで余因子行列完成です。

余因子行列は元の行列に「〜」をつけて表すことが多いので

A~=(11171357317)

となります。

余因子行列の性質

(1)AA~=(detA)E

Eを単位行列として、この式が成り立ちます。

実際に確かめてみましょう。

Aの行列式を計算してみると

|312541213|=14

です。

AA~をかけます。

AA~=(312541213)(11171357317)=(140001400014)

たしかに式(1)が成り立っていますね。

逆行列の計算方法

準備が終わったので本題の逆行列の計算方法に進みます。

式(1)を両辺detAで割ると

1detAAA~=E

となるので、逆行列は

A1=1detAA~

となります。これが余因子行列を使って逆行列を作る公式です。

行列式も余因子行列もさっき求めたので公式に代入してあげると

A1=1detAA~=114(11171357317)

となります。

逆行列計算の具体例

それでは具体例で逆行列を計算してみましょう。

X=(1x+11+1x1+1x1x+1x+11+1x1)

逆行列の公式は

X1=1detXX~

です。

まずは行列式から求めます。サラスの公式を使って

detX=1+(x+1)3+(1+1x)33(x+1)(1+1x)=x3+1x3+3x2+3x2+6x+6x+7=(x+1x)3+3x2+3x2+3x+3x+7=(x+1x)3+3(x+1x)2+3x+3x+1=(x+1x)3+3(x+1x)2+3(x+1x)+1=(x+1+1x)3

次に余因子を9個求めます。

X11=|1x+11+1x1|=x11x=(x+1+1x)

X12=|1+1xx+1x+11|=x2+2x+2+1x=(x+1+1x)(x+1)

X13=|1+1x1x+11+1x|=x+2+2x+1x2=(x+1+1x)(1+1x)

X21=|x+11+1x1+1x1|=x+2+2x+1x2=(x+1+1x)(1+1x)

X22=|11+1xx+11|=x11x=(x+1+1x)

X23=|1x+1x+11+1x|=x2+2x+2+1x=(x+1+1x)(x+1)

X31=|x+11+1x1x+1|=x2+2x+2+1x=(x+1+1x)(x+1)

X32=|11+1x1+1xx+1|=x+2+2x+1x2=(x+1+1x)(1+1x)

X33=|1x+11+1x1|=x11x=(x+1+1x)

以上より余因子行列X~

X~=(X11X21X31X12X22X32X13X23X33)=(x+1+1x)(11+1xx+1x+111+1x1+1xx+11)

これを逆行列の公式に代入して

X1=1detXX~=1(x+1+1x)2(11+1xx+1x+111+1x1+1xx+11)

となります。

余因子行列を使うと機械的に逆行列が求められますが、計算量が多いのが難点です。

行列Xのように成分が複雑な行列は我慢して余因子行列を計算するしかありません。

逆に、冒頭の例の行列Aのように成分が複雑でない行列なら、掃き出し法という簡単に逆行列を求められる方法があります。

まとめ

余因子行列を用いた逆行列の公式は以下の式です。

A1=1detAA~

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