同次連立1次方程式の解と自由度の関係

こんにちはコーヤです。

このページでは同次連立1次方程式の解と自由度の関係を勉強します。線形独立の判定、固有ベクトル、核空間などの場面で必要な線形代数の重要な知識です。

同次・非同次の分類

同次と非同次は右辺が全部0かどうかで分類されます。

x+2y=03x4y=0

x+2y=43x4y=2

上の2式は同次連立1次方程式、下の2式は非同次連立1次方程式です。

解ける式と解けない式

同次連立1次方程式には解ける式と解けない式があります。それぞれ具体例を見ていきます。

まずは解ける同次連立1次方程式です。

x+2y=03x4y=0

(x,y)=(0,0)です。

次に解けない同次連立1次方程式です。

x+2y=02x4y=0

(x,y)=(0,0),(2,1),(2,1)たくさん答えがあります。

無理やり解を出すなら任意定数tを用いて(x,y)=(2t,t)となります。

厳密には「解けない」わけではありませんが「解が定まらない」ということです。

これを踏まえて読み進めるとスムーズにいくと思います。

自由度の求め方

未知数の数から係数行列のランクを引いたのが自由度です。

さっきの例を使って自由度を求めます。

解ける例

x+2y=03x4y=0

これを行列の形に変更して

(1234)(xy)=(00)

こうなります。

係数行列A

A=(1234)

とするとrankA=2です。

この同次連立1次方程式は未知数の数はx,yの2個、ランクは2です。

自由度は未知数の数からランクを引いたものなので、自由度0です。

解けない例

x+2y=02x4y=0

これを行列の形に変更して

(1224)(xy)=(00)

こうなります。

係数行列B

B=(1224)

とするとrankB=1です。

この同次連立1次方程式は未知数の数はx,yの2個、ランクは1です。

自由度は未知数の数からランクを引いたものなので、自由度1です。

解と自由度の関係

自由度は解の任意定数の個数を表します。

x+2y=03x4y=0

この同次連立1次方程式の自由度は0でした。

解は(x,y)=(0,0)です。任意定数0個で解が求まっています。

x+2y=02x4y=0

この同次連立1次方程式の自由度は1でした。

解は(x,y)=(2t,t)です。任意定数1個で解が求まっています。

2つの例を見ると、たしかに自由度と解の任意定数の個数が一致しています。

グラフで見比べればさらに自由度のイメージが付きやすいと思います。

解と自由度

同次連立1次方程式の具体例

それでは具体例3つで同次連立1次方程式の解を求める練習をしましょう。

具体例1

x+2y+3z=03x+4y+2z=02x+3y+5z=0

この同次連立1次方程式の解を求めます。行列形式に変形して

(123342235)(xyz)=(000)

係数行列を階段行列に変形してランクを求めると

(123342235)(123011005)

この行列はランク3です。未知数の数はx,y,zの3個、ランクは3なので、自由度は0です。

つまり任意定数を使わずに解が求まります。

階段行列を使って式を書くと

(123011005)(xyz)=(000)

行列形式から普通の方程式の形に変形して

x+2y+3z=0yz=05z=0

となります。この連立1次方程式を普通に解いて

(x,y,z)=(0,0,0)

となります。

具体例2

x+2y+3z=03x+4y+2z=04x+6y+5z=0

この同次連立1次方程式の解を求めます。行列形式に変形して

(123342465)(xyz)=(000)

係数行列を階段行列に変形してランクを求めると

(123342465)(123027000)

この行列はランク2です。未知数の数はx,y,zの3個、ランクは2なので、自由度は1です。

自由度が1ということは、任意定数1個で解が表せるということです。

階段行列を使って式を書くと

(123027000)(xyz)=(000)

行列形式から普通の方程式の形に変形して

x+2y+3z=02y7z=0

となります。ここで任意定数tの出番です。

z=2tとおくと、2行目の方程式からy=7tが求まります。

yzが分かったので、1行目の方程式からx=8tが求まります。

よって

(x,y,z)=(8t,7t,2t)

となります。

具体例3

x+2y+3z=02x+4y+6z=03x+6y+9z=0

この同次連立1次方程式の解を求めます。行列形式に変形して

(123246369)(xyz)=(000)

係数行列を階段行列に変形してランクを求めると

(123342465)(123000000)

この行列はランク1です。未知数の数はx,y,zの3個、ランクは1なので、自由度は2です。

自由度が2ということは、任意定数2個で解が表せるということです。

階段行列を使って式を書くと

(123000000)(xyz)=(000)

行列形式から普通の方程式の形に変形して

x+2y+3z=0

となります。ここで任意定数t1,t2の出番です。

y=t1,z=t2とすると、方程式からx=2t13t2が求まります。

よって

(x,y,z)=(2t13t2,t1,t2)

となります。

まとめ

未知数の数から係数行列のランクを引いたものが自由度です。

自由度は解の任意定数の個数を表しています。

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