知っていると便利な積分のテクニック

こんにちはコーヤです。

このページでは、知っていると便利な積分のテクニックとしてワイエルシュトラス置換、キングプロパティ、矢印部分積分(瞬間部分積分)の3つを勉強します。

ワイエルシュトラス置換

概要

被積分関数が三角関数で表されるとき、被積分関数をべき関数に置換するテクニックです。

tanx2=t

と置換することで

sinx=2t1+t2

cosx=1t21+t2

tanx=2t1t2

dx=21+t2 dt

このように変換できます。

導出

倍角の公式、半角の公式を駆使して計算します。

tanx=tan2x2=2tanx21tan2x2=2t1t2

sinx=sin2x2=2sinx2cosx2=2tanx2cos2x2=2tanx211+tan2x2=2t1+t2

cosx=cos2x2=2cos2x21=21+tan2x21=21+t21=1t21+t2

dx=2cos2x2 dt=21+tan2x2 dt=21+t2 dt

例題

012π13+cosx dx

ワイエルシュトラス置換を使います。定積分なので積分範囲の計算もしましょう。

x:012πt:01

よって

012π13+cosx dx=0113+1t21+t221+t2 dt=0112+t2 dt

変数をtからθへ置換します。

t=2tanθdt=2cos2θ dθ

t:01θ:0arctan12

よって

0112+t2 dt=0arctan1212+2tan2θ2cos2θ dθ=120arctan12 dθ=12[θ]0arctan12=12arctan12

となります。

キングプロパティ

概要

関数の対称性に注目して定積分の値を簡単に求めるテクニックです。

以下の2パターンのどちらかを使うことが多いです。

abf(x) dx=abf(a+bx) dx

abf(x) dx=12abf(x)+f(a+bx) dx

導出

abf(a+bx) dx

変数をxからtへ置換します。

t=a+bxdt=(1) dx

x:abt:ba

よって

abf(a+bx) dx=baf(t)(1) dt=abf(t) dt

ここで

abf(t) dt=abf(x) dx

なので

abf(a+bx) dx=abf(x) dx

となります。これで公式の1つ目が導出できました。

2つ目の公式は

abf(x) dx=12(abf(x) dx+abf(x) dx)=12(abf(x) dx+abf(a+bx) dx)=12abf(x)+f(a+bx) dx

と導出できます。

例題

0πxsinx1+cos2x dx

2つ目の公式を使います。

0πxsinx1+cos2x dx=120πxsinx1+cos2x+(πx)sin(πx)1+cos2(πx) dx=120πxsinx1+cos2x+(πx)sinx1+cos2x dx=120ππsinx1+cos2x dx=12π0πsinx1+cos2x dx

変数をxからtへ置換します。

t=cosxdt=sinx dx

x:0πt:11

よって

12π0πsinx1+cos2x dx=12π1111+t2 dt=12π1111+t2 dt=12π[arctant]11=14π2

となります。

矢印部分積分(瞬間部分積分)

概要

矢印を使って部分積分を簡単に計算するテクニックです。1回だけ部分積分する場合も矢印で簡単になりますが、特に複数回連続で部分積分をするときは効果バツグンです。

瞬間部分積分と呼ばれるテクニックとほぼ同じです。私が高3のときは矢印を使うやり方で習ったので、勝手に矢印部分積分と呼んでいます。

fg dx=fGfG dx

この公式を矢印を使って計算します。計算方法は4ステップです。

  1. 矢印で微積を下書きする
  2. 矢印の根本の積を書く
  3. 下段の積の積分を書く
  4. 符号でつなげる
ステップ1. 矢印で微積を下書きする

fgdx=fG

矢印の根本から先に向かって微分するように方向を合わせましょう。

ステップ2. 矢印の根本の積を書く

fgdx=fGfG

ステップ3. 下段の積の積分を書く

fgdx=fGfG dxfG

ステップ4. 符号でつなげる

fgdx=fGfG dxfG

これで完成です。矢印と下段は下書きなので消してしましましょう。

fg dx=fGfG dx

この公式ができました。

例題1

xcosx dx

この積分を矢印を使って計算してみます。

ステップ1です。矢印で微積を下書きします。

xcosxdx=1sinx

ステップ2です。矢印の根本の積を書きます。

xcosxdx=xsinx1sinx

ステップ3です。矢印の下段の積の積分を書きます。

xcosxdx=xsinx1sinx dx1sinx

ステップ4です。符号でつなげます。

xcosxdx=xsinx1sinx dx1sinx

これで完成です。矢印と下段は下書きなので消してしましましょう。

xcosx dx=xsinx1sinx dx=xsinx+cosx+C

計算終了です。

例題2

x3cosx dx

この積分を矢印を使って計算してみます。

ステップ1です。矢印で微積を下書きします。

x3cosxdx=3x2sinx6xcosx6sinx

ステップ2です。矢印の根本の積を書きます。1段目の矢印、2段目の矢印、3段目の矢印と順に書きます。

x3cosxdx=x3sinx3x2cosx6xsinx3x2sinx6xcosx6sinx

ステップ3です。矢印の下段の積の積分を書きます。最下段だけです。

x3cosxdx=x3sinx3x2cosx6xsinx6sinx dx3x2sinx6xcosx6sinx

ステップ4です。符号でつなげます。マイナス、プラス、マイナスと交互につなげます。

x3cosxdx=x3sinx(3x2cosx)+(6xsinx)6sinx dx3x2sinx6xcosx6sinx

これで完成です。矢印と下段は下書きなので消してしましましょう。

x3cosx dx=x3sinx(3x2cosx)+(6xsinx)6sinx dx=x3sinx+3x2cosx6xsinx+6sinx dx=x3sinx+3x2cosx6xsinx6cosx+C

計算終了です。

まとめ

置換積分はワイエルシュトラス置換とキングプロパティを知っておくと便利です。

部分積分は矢印を使うと簡単に計算できるようになります。

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