こんにちはコーヤです。
このページでは線形空間の一部分を切り取った部分空間の性質と、部分空間を組み合わせて作る和空間の性質を勉強をします。
部分空間の作り方
線形空間
線形空間
式だけだと伝わりにくいので具体例を見ていきます。
例えば線形空間
今回は
この
では
とします。
を方程式の形に変形して
という関係が導けます。
以上より
たしかに
部分空間の条件
ある空間が部分空間かどうか判断するために確認するべきポイントは1個だけです。
が成り立っていればOKです。
それでは
この2つを拾ってきました。これらは
を満たします。それでは実数
これが
となります。これで
部分空間かどうかを判断するとき、いちいち計算するのは面倒なのでよく出る例だけ紹介します。
部分空間の大事なポイントとして
- 原点を通らない空間は部分空間にはなりません。
- 部分空間は元の空間と一致してもOKです。
- 部分空間は零ベクトルだけでも大丈夫です。
以上をふまえて
- 線形空間
の部分空間は、 そのもの、原点を通る直線全て、原点、の3種類になります。 - 線形空間
の部分空間は、 そのもの、原点を通る平面全て、原点を通る直線全て、原点、の4種類になります。
和空間の作り方と和集合との違い
とすると部分空間
ここで
グラフを見ると分かる通り
和の演算が定義できないため
これだと困ってしまうので、和集合
このように定義すれば和空間は線形空間の性質を満たすうえ、以下の公式まで作れます。
今回の例だと
これを公式に当てはめて
和空間の広げ方
今度は
とすると部分空間
ここで和空間
すでに求めている
ではここで視点を変えてみます。
1次元空間
5式とも2次元空間になるので正解です。
しかし、さっき計算したとおり(4)式はスマートな表現ではありません。
(5)式はあきらかに無駄な計算をしていることが分かります。それでも2次元空間になるので正解となってしまいます。
逆に(1),(2),(3)式は必要最低限で無駄のない表現です。
ここで直和という表現が登場します。無駄のない和空間の広げ方を直和といい、無駄のある和空間の広げ方と区別するために
直和をふまえて5式を書き直すと
となります。
直和のときは和空間の公式が簡単になります。(1)式を例にすると
と書き換えることができます。直和のときは積集合の次元が0になるので、引き算の部分がなくなります。
まとめ
線形空間
部分空間の足し算を和空間と定義します。無駄のない和空間の広げ方を直和と言います。
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