双曲線関数の性質

こんにちはコーヤです。

このページでは、双曲線関数の性質を勉強します。三角関数の公式と混乱しないように注意が必要です。

双曲線関数の定義

双曲線関数は以下のように定義された関数です。

sinhx=exex2coshx=ex+ex2tanhx=exexex+ex

グラフはそれぞれ以下のようになります。

双曲線関数の性質

双曲線関数の定義は指数関数の式でしたが、性質は三角関数とそっくりです。

(cost,sint)は線x2+y2=1上に位置します。

(cosht,sinht)は線x2y2=1上に位置します。

どちらも色がついている部分の面積は12tです。

双曲線関数の公式

双曲線関数は公式も三角関数の公式にそっくりですが符号が異なります。

符号ミスが頻発するので、公式を使うときは前述の定義を代入して成立しているか確認するのがオススメです。

相互関係

cosh2xsinh2x=1

tanhx=sinhxcoshx

1tanh2x=1cosh2x

加法定理

sinh(α±β)=sinhαcoshβ±coshαsinhβ

cosh(α±β)=coshαcoshβ±sinhαsinhβ

tanh(α±β)=tanhα±tanhβ1±tanhαtanhβ

倍角の公式

sinh2x=2sinhxcoshx

cosh2x=cosh2x+sinh2x=2cosh2x1=1+2sinh2x

tanh2x=2tanhx1+tanh2x

半角の公式

sinh2x=cosh2x12

cosh2x=cosh2x+12

tanh2x=cosh2x1cosh2x+1

微分積分

(sinhx)=coshx

(coshx)=sinhx

(tanhx)=1cosh2x

sinhx dx=coshx+C

coshx dx=sinhx+C

tanhx dx=log(coshx)+C

逆双曲線関数の性質

三角関数に逆三角関数があったように、双曲線関数には逆双曲線関数があります。

逆三角関数には”arc”がつきましたが、逆双曲線関数は”ar”がつきます。

Wikipediaによると”arc”の語源はarcus(弓)で”ar”の語源はarea(面積)とのことです。

arsinh

arsinhx=log(x+x2+1)

導出

y=sinhx=exex2

双曲線関数のxyを入れ替えて

x=eyey2

これを整理して

e2y2xey1=0

解の公式より

ey=x+x2+1

となります。

解の公式の結果はプラマイではなくプラスだけです。

指数関数の値は必ず正のためey>0となります。

右辺の項を比べるとx<x2+1が成り立ちます。

よって解の公式のマイナスは不適です。

両辺対数をとって

y=log(x+x2+1)

となり逆関数が求まりました。

arcosh

arcoshx=log(x+x21)

導出

y=coshxは1対2対応の関数であるため、グラフの実線の部分だけ考えます。

y=coshx=ex+ex2

双曲線関数のxyを入れ替えて

x=ey+ey2

これを整理して

e2y2xey+1=0

解の公式より

ey=x+x21

となります。

解の公式の結果はプラマイではなくプラスだけです。

元の関数coshxの範囲がx0かつy1なので、逆関数arcoshxの範囲はx1かつy0となります。

y0ということはey1になります。

つまりx1の範囲でey1を満たすような解しか条件に当てはまりません。

よって解の公式のマイナスは不適です。

両辺対数をとって

y=log(x+x21)

となり逆関数が求まりました。

ちなみにグラフの点線の部分は

y=log(xx21)

です。実線と点線を両方合わせて

y=log(x±x21)

これをarcoshxとすることもあるようです。

artanh

artanhx=12log1+x1x

導出

y=tanhx=exexex+ex

双曲線関数のxyを入れ替えて

x=eyeyey+ey=e2y1e2y+1

これを整理して

e2y=1+x1x

両辺対数をとって

2y=log1+x1x

よって

y=12log1+x1x

となり逆関数が求まりました。

双曲線関数の例題

双曲線関数の登場で置換積分の幅が広がります。

それでは例題2つで置換積分をやってみましょう。

例題1

11+x2 dx

x=sinhtと置換します。

11+x2 dx=11+sinh2tcosht dt=coshtcosht dt=t+C=arsinht+C=log(x+x2+1)+C

例題2

1+x2 dx

x=sinhtと置換します。

1+x2 dx=1+sinh2tcosht dt=cosh2t dt=cosh2t+12 dt=14sinh2t+12t+C=12(sinhtcosht+t)+C

途中の式変形で半角の公式と倍角の公式を使いました。

ここでtの関数からxの関数へ戻します。

sinht=xcosht=1x2

を代入して

12(sinhtcosht+t)+C=12(x1x2+arsinhx)+C=12{x1x2+log(x+x2+1)}+C

以上より

1+x2 dx=12{x1x2+log(x+x2+1)}+C

です。

まとめ

双曲線関数は以下のように定義された関数です。

sinhx=exex2coshx=ex+ex2tanhx=exexex+ex

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