回転体の体積と表面積の計算方法

こんにちはコーヤです。

このページでは、回転体の体積と表面積の計算方法を勉強します。陽関数表示、媒介変数表示、極座標表示の3パターンです。

回転体の体積と表面積の公式

陽関数表示、媒介変数表示、極座標表示の3パターンにおいて、回転体の体積Vと表面積Sを以下のように決めます。

それぞれの表示形式においてx軸で回転させた時の回転体の体積Vと表面積Sとし、体積Vと表面積Sの公式は以下の式です。

陽関数表示の公式

V=πabf(x)2 dxS=2πabf(x)1+f(x)2 dx

媒介変数表示の公式

V=πpqf(t)g(t)2 dtS=2πpqg(t)f(t)2+g(t)2 dt

極座標表示の公式

V=23παβf(θ)3sinθ dθS=2παβf(θ)sinθf(θ)2+f(θ)2 dθ

それでは例題で計算しましょう。

回転体の体積と表面積の例題

陽関数表示の例題

y=f(x)=coshx(0xlog2)

この関数をx軸まわりで回転させた回転体の体積Vと表面積Sを計算します。

まずは体積Vの計算です。

V=π0log2f(x)2 dx=π0log2cosh2x dx=12π0log2cosh2x+1 dx=12π[12sinh2x+x]0log2=12π{12sinh(2log2)+log2}=12π(1516+log2)

次に表面積Sの計算です。

f(x)=sinhx

より

S=2π0log2f(x)1+f(x)2 dx=2π0log2coshx1+sinh2x dx=2π0log2coshxcosh2x dx=2π0log2coshx|coshx| dx=2π0log2cosh2x dx=π(1516+log2)

途中の絶対値が出てくる式は、0xlog2の範囲でcoshx>0なので絶対値が外れます。

最後の積分計算は体積Vと同じ積分なので計算過程を省略しました。

媒介変数表示の例題

x=f(t)=tsinty=g(t)=1cost(0t2π)

この関数をx軸まわりで回転させた回転体の体積Vと表面積Sを計算します。サイクロイドと呼ばれる関数です。

まずは体積Vの計算です。

f(t)=1cost

より

V=π02πf(t)g(t)2 dt=π02π(1cost)(1cost)2 dt=π02π13cost+3cos2tcos3t dt=π02π52154cost+32cos2t14cos3t dt=π[52t154sint+34sin2t112sin3t]02π=5π2

次に表面積Sの計算です。

g(t)=sint

より

S=2π02πg(t)f(t)2+g(t)2 dt=2π02π(1cost)(1cost)2+sin2t dt=2π02π(1cost)2(1cost) dt=22π02π(1cost)32 dt=22π02π(2sin2t2)32 dt=8π02πsin3t2 dt=8π02π(1cos2t2)sint2 dt

変数をtからuへ置換します。

u=cost2du=12sint2 dt

t:02πu:11

よって

8π02π(1cos2t2)sint2 dt=8π11(1u2)(2) du=16π111u2 du=16π[u13u3]11=643π

となります。

極座標表示の例題

r=f(θ)=1+cosθ(0θπ)

この関数を始線Xまわりで回転させた回転体の体積Vと表面積Sを計算します。カージオイドと呼ばれる関数です。

まずは体積Vの計算です。

V=23π0πf(θ)3sinθ dθ=23π0π(1+cosθ)3sinθ dθ

変数をθからtへ置換します。

t=cosθdt=sinθ dθ

θ:0πt:11

よって

23π0π(1+cosθ)3sinθ dθ=23π11(1+t3)(1) dt=23π111+t3 dt=23π[14(1+t)4]11=83π

次に表面積Sの計算です。

f(θ)=sinθ

より

S=2π0πf(θ)sinθf(θ)2+f(θ)2 dθ=2π0π(1+cosθ)sinθ(1+cosθ)2+(sinθ)2 dθ=2π0π(1+cosθ)sinθ2(1+cosθ) dθ=22π0π(1+cosθ)32sinθ dθ

変数をθからtへ置換します。

t=cosθdt=sinθ dθ

θ:0πt:11

よって

22π0π(1+cosθ)32sinθ dθ=22π11(1+t)32(1) dt=22π11(1+t)32 dt=22π[25(1+t)52]11=325π

となります。

極座標表示の回転体の注意点

同じ曲線でも、陽関数表示(もしくは媒介変数表示)で回転させた場合と極座標表示で回転させた場合で形が異なります。

単位円の14πから12πの曲線を、それぞれ陽関数表示と極座標表示で回転させて体積Vと表面積Sを求めてみます。

この曲線を陽関数表示と極座標表示で表すと以下のようになります。

f(x)=1x2(0x12)f(θ)=1(14πx12π)

陽関数表示の体積と表面積

V=πabf(x)2 dx=π0121x2 dx=π[x13x3]012=5212π

S=2πabf(x)1+f(x)2 dx=2π0121x211x2 dx=2π012 dx=2π[x]012=2π

極座標表示の体積と表面積

V=23παβf(θ)3sinθ dθ=23π14π12πsinθ dθ=23π[cosθ]14π12π=23π=4212π

S=2παβf(θ)sinθf(θ)2+f(θ)2 dθ=2π14π12πsinθ dθ=2π[cosθ]14π12π=2π

結果を比較すると、表面積は同じですが体積は異なります。なぜでしょうか。

体積が異なる理由

体積が異なる理由は回転している領域が異なるからです。

陽関数表示のときは図のA1,A2の部分が回転します。極座標表示のときは図のA1が回転します。

したがってA2の回転体の体積だけ差が出ることになります。

A2の回転体は、底面が半径12の円、高さ12の円錐なのでその体積は

V=212π

となります。陽関数表示と極座標表示の体積の差と一致しています。

表面積が一致する理由

表面積が一致する理由は、どちらの表示形式でも図の曲線Lの部分が回転した表面積だからです。

体積や表面積の導出過程が気になった方は、以下の公式の導出をご覧ください。

公式の導出

それぞれの公式の導出を行います。

陽関数表示の公式の導出

まず体積Vの公式を導出します。

ΔVを円柱だと近似して、底面の半径yで高さΔxの円柱の体積を求めると

ΔVπy2Δx

Δxを移項して

ΔVΔxπy2

ここでΔx0のとき

dVdx=πy2

両辺をaxbの範囲のxで積分して

V=πaby2 dx

となります。

次に表面積Sの公式を導出します。

半径yの円の周長l

l=2πy

これに曲線の長さΔLをかけて、表面積ΔS

ΔS2πyΔL

ここで三平方の定理より

ΔL(Δx)2+(Δy)2=1+(ΔyΔx)2Δx

よって

ΔS2πy1+(ΔyΔx)2Δx

Δxを移項して

ΔSΔx2πy1+(ΔyΔx)2

ここでΔx0のとき

dSdx=2πy1+(dydx)2

両辺をaxbの範囲のxで積分して

S=2πaby1+(dydx)2 dx

となります。

媒介変数表示の公式の導出

体積Vの公式は陽関数の公式の変数をx=f(t)と置換すれば求まります。

V=πaby2 dx=πpqy2dxdt dt

表面積Sの公式も陽関数のときと同じような計算です。

半径yの円の周長l

l=2πy

これに曲線の長さΔLをかけて、表面積ΔS

ΔS2πyΔL

ここで三平方の定理より

ΔL(Δx)2+(Δy)2=(ΔxΔt)2+(ΔyΔt)2Δt

よって

ΔS2πy(ΔxΔt)2+(ΔyΔt)2Δt

Δtを移項して

ΔSΔt2πy(ΔxΔt)2+(ΔyΔt)2

ここでΔt0のとき

dSdx=2πy(dxdt)2+(dydt)2

両辺をptqの範囲のtで積分して

S=2πpqy(dxdt)2+(dydt)2 dt

となります。

極座標表示の公式の導出

まず体積Vの公式を導出します。

極座標平面の領域を回転させると計算が大変なので、回転させる前に直交座標に直します。

極座標中の点(r,θ)と点(r+Δr,θ+Δθ)を直交座標に直すと

(r,θ)(rcosθ,rsinθ)(r+Δr,θ+Δθ)((r+Δr)cos(θ+Δθ),(r+Δr)sin(θ+Δθ))

となります。

図のΔAは三角形の面積だと近似して

ΔA12r(r+Δr)sinΔθ

また、三角形の重心とx軸との距離g

g13{rsinθ+(r+Δr)sin(θ+Δθ)}

ここでパップスギュルダンの定理より

パップスギュルダンの定理は平面図形を回転させた回転体の体積を求める定理です。

「平面図形の面積」と「平面図形の重心が回転で移動する距離」の積が回転体の体積となります。

今の例だと「平面図形の面積」はΔAで「平面図形の重心が回転で移動する距離」が2πgです。

ΔV2πgΔA=13π{rsinθ+(r+Δr)sin(θ+Δθ)}r(r+Δr)sinΔθ

となります。

両辺をΔθで割って

ΔVΔθ13π{rsinθ+(r+Δr)sin(θ+Δθ)}r(r+Δr)sinΔθΔθ

ここでΔθ0のときΔr0なので

dVdθ=13π{rsinθ+rsinθ}rr1=23πr3sinθ

両辺をαθβの範囲のθで積分して

V=23παβr3sinθ dθ

となります。

次に表面積Sの公式を導出します。陽関数のときと同じような計算です。

半径rsinθの円の周長l

l=2πrsinθ

これに曲線の長さΔLをかけて、表面積ΔS

ΔS2πrsinθΔL

両辺Δθで割って

ΔSΔθ2πrsinθΔLΔθ

となります。ここで余弦定理より

(ΔL)2r2+(r+Δr)22r(r+Δr)cosΔθ=2r2+2rΔr+(Δr)2(2r2+2rΔr)cosΔθ=(2r2+2rΔr)(1cosΔθ)+(Δr)2=2r(r+Δr)(1cosΔθ)+(Δr)2

両辺を(Δθ)2で割って

(ΔLΔθ)22r(r+Δr)(1cosΔθ)(Δθ)2+(ΔrΔθ)2

ルートを使って

ΔLΔθ2r(r+Δr)(1cosΔθ)(Δθ)2+(ΔrΔθ)2

となります。

ルートを使いましたが

ΔLΔθ±2r(r+Δr)(1cosΔθ)(Δθ)2+(ΔrΔθ)2

のように±は付きません。

極座標表示なのでr0かつΔr0です。よって

2r(r+Δr)0

となり、この項はプラスです。

次に1cosΔθ1より

1cosΔθ0

となり、この項もプラスです。

残ってる項は2乗されているのでプラスです。

ルートの中身が全てプラスなので、ルートの外の符号はプラマイではなくプラスになります。

この結果を代入して

ΔSΔθ2πrsinθΔLΔθ=2πrsinθ2r(r+Δr)(1cosΔθ)(Δθ)2+(ΔrΔθ)2

ここでΔθ0のときΔr0なので

dSdθ=2πrsinθ2rr12+(drdθ)2=2πrsinθr2+(drdθ)2

両辺をαθβの範囲のθで積分して

S=2παβrsinθr2+(drdθ)2 dθ

となります。

まとめ

陽関数表示、媒介変数表示、極座標表示の3パターンにおいて、回転体の体積Vと表面積Sを以下のように決めます。

このとき、それぞれの表示形式において体積Vと表面積Sの公式は以下の式です。

陽関数表示

V=πabf(x)2 dxS=2πabf(x)1+f(x)2 dx

媒介変数表示

V=πpqf(t)g(t)2 dtS=2πpqg(t)f(t)2+g(t)2 dt

極座標表示

V=23παβf(θ)3sinθ dθS=2παβf(θ)sinθf(θ)2+f(θ)2 dθ

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